norariーkurari

思いついたらやってみる。

心の中の鉛

ある秋の日の夕方

夫と子供たちと出掛けているところに

珍しく母から夫へ電話がきた




夫へ話があるなんてなんだろう?




夫に聞くと

明日実家に来てほしいとのこと




電話は私には代わらず切ったので

気になって家に帰ってから母へメールを送った




「さっきの電話は何の用事だったの?」




すると、しばらくして電話がかかってきた。

なんか様子がおかしい






「あのね…お姉ちゃんにもう会えないんだよ。」





「引っ越し?突然?遠いの?」





「違うよ」





「会えないってなんで?」





「なんでって…





お姉ちゃんは…





死んじゃったから」





え?なんで?






しばらくお腹の底からの泣き叫び声しか出なかった

現実が受け入れられない




嘘でしょ?信じられない

明日ケーキ屋さんでお茶する約束してるのに?

急すぎる

なぜ?おととい電話で話したのに?




病気でも何でもなかったのに




そのあとの会いに行ったことや

お通夜もお葬式もよく思い出せず

思い出そうとするとモヤモヤっとする

あれは何年前になるんだろう


心に鉛のようなものを入れて

いつもの生活に戻りつつある






生まれたときから当たり前にそばにいて

自分のことをわかってくれて

結婚してからも

いつでも当たり前に会いに行ける




そんな人ともう二度と会えないって!

もうどこにも存在しないって!





健康だと生きてるのが当たり前に思えてくる


常に

いつか自分が消えてなくなることなんて

考えていない



姉の歳になったら私も死ぬのではと

そんなはずはないけど思ったり





いつ死ぬかわからないから


ちゃんと毎日生きないと


何てことない毎日だけど


動けない日もあるけど


思い立ったらすぐやろう